平成29年11月30日(木)13:30~16:30
天竜川漁業協同組合2階会議室
たかはし河川生物調査事務所:高橋勇夫農学博士
近自然河川研究所:有川崇氏
中部大学 :村上哲生教授
京都大学 :竹門康弘准教授、高橋真司氏、足立京子氏
天竜川漁協 :平野國行組合長、鈴木業務委員長、谷髙事務局長
国土交通省浜松河川国道事務所調査第一課
:林課長
電源開発(株)
茅ヶ崎研究所:喜多村雄一専任部長
中部支店 :
佐久間電力所(天竜土木G):中川(武)所長補佐、小泉M
用地G :津田用地担当、畠GL、服部GM、高橋(記)
(株)JPビジネスサービス社会環境部環境防災システムG
:小林GL
竹 門:礫列の間隔はどのように決定していったのか。
有 川:現場で自然の礫列や白波の状況を見て、それを参考に決めていった。平均10m前後の間隔で配置しており、下流に行くにつれ間隔は広くなる。
竹 門:河床の川幅も考慮に入れた上で、間隔を決めた方が良いように感じる。
喜多村:瀬のデザインは本川と西川で変わってくるが、どちらを参考にしたか。
有 川:元の河川状況を参考にしている、西川の方が間隔は小さかった。
竹 門:施行区と非施行区の違いは何か。
高橋博士:水質が異なるため、それを反映して区分けした。施行区は河床が撹拌されており、西川から来る礫分の多い土砂に礫分が多く流れくるため、そういった環境条件の違いによって区分した。
竹 門:産卵床の場所の決定はどう行ったか。
高橋博士:まず過去に産卵の実績がない場所ははずし、重機の進入が可能で、河床材の質が生息環境として適当な場所、新魚のハミ跡のある箇所を選んだ。
林 :河川の水深は流量が関係してくるが、アユにとっては安定した流量の環境と流量に変化のある環境とどちらが適しているのか。
高橋博士:産卵場は安定した流量が良いが、普段の生息場所は変化のある流量が良い。天竜川で言えば85㎥ほどの流量が平均だが、長期間に渡る流量変化の統計を取ることは有効かもしれない。
竹門:清掃作業に伴う水生昆虫への影響が軽いことはどうやって証明するのか。
村上:実際、水生昆虫は川の流れに流されたとしても下流のどこかしらにくっついている。調査の前後には流下ネットトラップを使って、水生昆虫が生きていることを確認している。
平 野:本会はスタートから6年が経過しているため今一度、今後の方向性・活動内容に関して見直し検討していきたい。
<畠GLより見直し案を説明>
平 野:ご意見あれば各先生方から伺いたい。
村 上:今回の見直しのポイントである取り組み目標を漁協が決定することに異議無し。昔は、漁協が長期的な課題目標を掲げ、我々はそれを基に検討してきた。短期的な目標、中長期的な目標を明確に設定した上で、組織構成を短期的な目標達成に向けた調査活動班(漁協中心)とその結果及び中長期的な目標への取組評価班にグループ分けして、別々の者がそれぞれ活動を実施していくべき。
竹 門:村上先生の意見と被る部分もあるが、増殖の目的、方法を明確化していく必要があるように感じる。賀茂川流域では毎年の放流に頼るのではなく、天然のアユをしっかりと増殖させようという目標を漁協が立て、事業に取り組んでいる。また、漁業法に基づく増殖行為としては、放流のみならず産卵場造成も認められている。しかし、全国的にも産卵場造成は、その効果が明確化できていないため、現時点においては増殖行為として認められていない。一方で認められれば、放流が免除されるなど漁協の安定経営に繋がるメリットもあるので、増殖事業の目標として、「産卵場の造成効果を明確化する」といったものもありえると思う。いずれにしても、漁協が具体的な事業計画を立てて、取組みの努力量に対する増殖量を関数化し、成果を数値化して評価していくことで、取組みが再生にどれだけ結び付いたかわかる仕組みが必要である。尚、長期的に見るとアユの生態上、必ずしも今年の取組みが翌年の結果にダイレクトに反映されるものではないが、数値化した成果を行政に示すことで義務放流を免除されるように取り組んでいくべき。(海域での減耗など別の要因もあるので、流下仔魚を指標とすることもありか)目標を作り、提案まで持っていかないと行政は動かない。むずかしい事ではあるが、少なくとも言葉として明示することが良い。
平 野:義務放流を果たせない漁協が増えてきている状況を鑑みても、そういった取り組みは重要であると思う。しかし、産卵場の造成効果の明確化は非常に難しい問題だと認識している。他に意見のある方は。
村 上:「組織の存在や活動内容の理解を天竜川流域の人々に広げていく」という内容を会の目的に明記すべき。
喜多村:HPへの再生連絡会の活動に関する情報アップは現在も行っている。
足 立:ホームページの見かたを知らないお年寄りもいるので、地区の回覧板等で周知したらどうか。
村 上:HPでの活動報告や情報提供は今後も引き続き実施していくべきと感じる。