季節外れの真夏日となった10月11日から12日、新幹線天竜川鉄橋から約100m上流の左岸側砂州で、高橋勇夫農学博士の指導の元、アユの産卵床の造成が行われました。工事は予定通りに終了。好条件の産卵床が誕生し、今秋、多くのアユが産卵に訪れることが期待されました……。
理想的なアユの産卵床の条件は……、
アユは河床の礫と礫の隙間の礫の表面に卵を産みつけるのですが、この好条件の環境を人工的に作るのが今回の実験の目的です。
11日の午前中より、今回の工事の施工を任された河川工事のスペシャリスト、植松鈴木組のスタッフによる測量が始まり、午後3時に油圧ショベルによる掘削がスタート。約3時間でおおまかな掘削作業を終え、この日の作業は終了しました。翌日は産卵床の両岸に作られた盛土の成形の他、適したサイズの礫を河床に投入したり、スムーズに河水が流れ込むように入り口の形状を、産卵床と本流の流れがほぼ同じになるように出口の形状を調整。また、流れにムラがあったため、その原因となっている河床の凸凹を減らすためにスタッフ総出で足や鍬等を用いて河床に突起している礫をならしました。あいにく、上流部の河床は砂地が多く顔を出しているため「あまり産卵は期待できない」(高橋先生)そうですが、下流部はちょうどいい大きさの礫が層を作っていて、「理想的な産卵床ができた」(高橋先生)と、今後の成果に期待されていました。
アユは本能的に好条件の産卵場を見つけるので、早ければ「1日経たないで産卵に訪れる」(高橋先生)とのこと。24日には近所のこうのとり豊田保育園の園児たちによる「親魚の放流会」も企画され、よりこの場が好条件な産卵場所として認知されることが期待されます。
※重機による掘削は、下流域へ与える影響を考慮し、極力濁りの出ないように細心の注意を払って行ないました。実際出た少量の濁りは造成場所直下において大量の流水で希釈されており、下流域への影響は極僅かであったと思われます。