第29回天竜川天然資源再生連絡会

第29回天竜川天然資源再生連絡会の様子

日 時

平成28年10月3日(月)13:30〜16:30

場 所

天竜川漁業協同組合2階会議室

出席者

たかはし河川生物調査事務所:高橋勇夫農学博士
中部大学   :村上哲生教授
京都大学   :竹門康弘准教授、高橋氏
天竜川漁協  :平野國行組合長、中谷総務委員長、鈴木業務委員長、
静岡淡水魚研究会(静岡市環境学習指導員・静岡県環境学習指導員)
       :足立氏
国土交通省浜松河川国道事務所調査第一課:林課長
 
電源開発(株)
 茅ヶ崎研究所:喜多村シニアエキスパート
 中部支店  :中嶋副支店長
  用地G  :畠グループリーダー、上野
 佐久間電力所 浜北区駐在
       :佐藤所長代理、金山M
(株)JPビジネスサービス社会環境部環境防災システムG
       :小林グループリーダー

テーマ

  1. 活動報告
    1. 高橋農学博士
    2. 村上教授
    3. 竹門准教授
    4. J Power
  2. 国土交通省浜松河川国道事務所より
  3. 講演会について

内 容

高橋農学博士

  • 2015年の総流下量は8.4億尾と推定され、以前として低水準にある。
  • 総流下量の経年変化をみると、2009年から著しく減少し、近年は低調な状態が続いている。
  • 流下量の減少と時を同じくして、産卵時期の早期化現象が生じている。一般的に人工アユは天然アユに比べて産卵時期が早いことが知られており、天竜川の流下量減少・産卵の早期化は、人工アユの比率上昇と関係があると推察される。
  • 9km・15km・20kmの3地点で流下量を調査したところ、9km地点の結果が卓越しており、9km-15kmの間に主産卵場が形成されていることがわかった。

村上哲生教授

  • ベント・トーチ法は被膜の厚い藻類の測定には不適であるが、被膜の薄い珪藻類には適用できる可能性があることが示唆された。
  • 天竜川の付着藻類の特徴として、糸状緑藻の割合が多く、シルトや死んだ藻類の付着も多いことがわかった。したがって、河床洗浄により、シルトやエサに向かない藻類を洗い流し、新鮮な珪藻や藍藻が繁茂できる環境を作り出すことが重要である。
  • 茅ヶ崎研究所での屋内洗浄・剥離実験の結果、天竜川の糸状緑藻は剥離効果が低いのに対し、矢作川のカワシオグサは一定の剥離効果がみられることがわかった。今後も検体や流量を変えて実験し、効果を検証したい。

竹門康弘准教授

  • 濁水を効果的にフィルタリングできる砂州地形を把握するために、砂州の上下流で採水調査を行い、砂州地形の違いによる濾過能力の違いを分析する予定である。
  • 社会人ドクターの高橋氏より、砂州の上下流における採水調査計画について説明があった。舟の上から河川表層水を採取し、懸濁成分の量、安定同位体比、GPS情報について調査する。

喜多村雄一

  • 河川環境の改善選定支援(プランニングキット)について、河口から秋葉ダムまで1km毎に区切って、環境因子を整理・評価した表を作成・共有する。
  • 平成28年度の佐久間貯水池の濁水状況について報告がなされた。アユ釣り解禁前の5月に一度出水があったものの、解禁日以降9月中旬までは出水がなく、濁度が低い状態が続いた。9月下旬以降は少雨が続いており、若干濁度が高くなっている。

国土交通省浜松河川国道事務所調査第一課 林課長

  • 平成28年10月、11月に国交省が開催を予定している講演会等について告知があった。
  • 各委員が行う実証試験について、河川法の許可行為に該当する可能性があるので、河川内作業をする際には、事前に所管の出張所に相談するよう依頼があった。

講演会について

  • 来年度にパネルディスカッション形式の講演会を開催することになった。事前に質問を募集し、それに答える形で進行することで、参加者のニーズに即した講演になるよう配慮する。