たかはし河川生物
調査事務所
高橋勇夫博士
1957年高知県出身。「たかはし河川生物調査事務所」を主宰し、全国各地の河川で天然アユを増やす活動と情報発信に取り組んでいる。
調査の趣旨
アユ資源を保全するためには、資源量(生息数)の把握が欠かせない。天竜川のように濁りのある河川では、直接観察による計数は難しいもののアユ生息の痕跡とも言えるハミ跡(河床の石に付いた摂餌跡)は多少濁りがあっても観察が可能である。そこで、その被度(石の表面についたハミ跡の面積率)を計測すれば、定性的にはアユの量を把握できる。また、ハミ跡の多さによってアユの分布傾向を知ることもでき、経時的な変化を追えば、アユの移動や生息量の変化(どの時期にアユが減るのか?)も把握することができる。
今回の結果と考察
ハミ跡の被度は1~17%と著しく低かった。残念ながら、この数値は同様の調査を開始した2013年以降で最低である。この原因としては、(1)アユの生息量がかなり少ない、(2)何らかの理由であまり摂餌していない、という2つのことが考えられるが、現段階では、(1)の可能性が高いと考えられるものの、まだ明確ではない。今秋まで継続的に調査を続けることで、その実態を明らかにしたい。