天竜川河川環境講演会 2012年10月14日

天竜川天然資源再生連絡会は1年半前に発足しました。今回はその中間報告という位置付けの講演会です。前半は河川の生態系に詳しい学識経験者の講演、後半は治水者の立場から、国土交通省浜松河川国道事務所所長の天野邦彦氏にもご参加いただき、「天竜川再生はなるか。」と題したパネルディスカッションを行いました。

秋山 雄司(天竜川漁業共同組合)

天竜川はさまざまな要素が絡み合って、不漁となっていると説き、いろいろな立場の人間が利害を超えて取り組まなければ復活はあり得ないという信念のもと、天竜川天然資源再生連絡会を発足させた。多くの人々が天竜川に関心を持ってくれることがまず第一と言い、さまざまな意見を取り入れるための双方向ウエブの構築に心血を注いでいる。1944年浜松市生まれ。静岡県内水面漁連理事。浜松市環境審議会環境評価部会委員。釣り全般を嗜むが、なかでもオイカワ釣りを愛好している。

高橋 勇夫(たかはし河川生物調査事務所代表)

「天竜川アユ不漁のプロセスとその原因」と題し講演。1957年高知県生まれ。農学博士。アユの生活史の基礎研究をベースに、全国各地の河川で漁協の人たちと天然アユを増やす活動に取り組んでいる。同時に天然アユを増やすための技術開発とその情報発信を行って来た。天竜川漁協へは、平成17年からアユ資源保全の指導を行っている。趣味は釣りと野菜作り。主な著書は『ここまでわかったアユの本』、『天然アユが育つ川』『アユを育てる川仕事』『変容するコモンズ』等。

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竹門 康弘(京都大学防災研究所水資源環境研究センター准教授)

「天竜川の河床環境と生息場の現状と課題」と題して講演。1957年東京生まれ。理学博士。日本生態学会生態系管理専門委員長、京の川の恵みを生かす会代表等。専門分野は動物生態学、河川生態学、応用生態工学。魚類や水生昆虫の生息場利用やその形成・維持のための手法や、貯水ダムが河川生態系に与える影響を軽減するための方法などを研究。趣味は磯釣りと山菜採り。主な著書は『棲み場所の生態学』、『渓流生態砂防学』、『水産海洋ハンドブック』、『自然再生ハンドブック』等。

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村上 哲生(名古屋女子大学家政学部教授)

「なぜ川の藻を調べることが必要なのか?〜生物ピラミドの底辺から見る川〜」と題して講演。1950年生まれ。理学博士。専門は陸水学(川や湖に関する科学)。長良川河口堰問題をきっかけとして、サンル川ダム(北海道)、川辺川ダム(熊本県)などのダム・堰環境問題の研究に従事している。平成12年から天竜川の付着藻類の調査を実施し、天竜川漁協とは10年以上の付き合い。主な著書は『ダム湖の陸水学』、『身近な水の環境化学』、『川と湖を見る・知る・探る』等。

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喜多村 雄一(電源開発株式会社)

「天竜川再生に関わる河川環境調査と評価技術」と題して講演。1955年福岡県生まれ。工学博士。水力・火力発電所設備に関わる調査・計画、設備の保守運用、環境対策や環境アセスメント評価および技術開発を中心に従事して来た。現在は天竜川を始め、全国の河川を業務フィールドとし、ダム貯水池における堆砂、濁水長期化および淡水赤潮などの環境対策について現地観測、技術開発や研究を進めている。海外でも水工学、環境工学の専門家として発電プロジェクトに参画。

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