「きれいな水と豊かな魚の実現はまず遊漁環境の改善から」

天竜川漁業協同組合 新代表理事組合長 平野国行

「きれいな水に豊かな魚」の実現には、 まさに天然資源の再生そのものが重要です。 その「天然資源の再生」は、 現在、 さまざまな環境要因の中で難しい問題を抱えていますが、 河川研究の専門家の方々や国土交通省、電源開発(株)など天竜川に関わるさまざまな立場の人が連携し知恵を出しあってより良い方向に向かうよう、共に取り組んで行きたいと思っています。

一方、漁場では釣り人の川離れ、 組合員の減少が深刻な問題になっています。 川に行っても「アユがいない」「魚が釣れない」からです。 昨年も4290kgの義務放流量の3倍超である15トン強のアユの放流を実施しました。 しかし、 一向に釣れませんでした。 放流した15トンのアユがどこにいってしまったのか。 釣り人を増やすには魚を釣って持ち帰り「釣ったよ」「食べたよ」という釣りの楽しさを満喫していただく、 そして、 それが口コミになる。 そういう放流が必要だと考えています。
「アユ一辺倒に偏ってはだめじゃないか」というご意見もいただいています。 そのためには、 今、 人気があるニジマス釣り場の拡大のためにワンドを造ることなどで、 少しでも遊漁者の減少に歯止めがかけられればと考えています。 また、 孵化器によるアユ孵化仔魚放流を拡大することで、 翌年の遡上に好影響を与えるのではないかと期待しているところです。

来年26年度は漁業権が更新になります。 我々はそれに併せ、 少しでも組合員・遊漁者の皆様に満足いただけるような新規則の検討をしています。 悪環境のなかで事業計画の達成は厳しい状況ですが、 多くの方々のお知恵とお力を拝借して、 少しでも良い方向に進んで行きたいと気持ちを引き締めているところです。