第33回天竜川天然資源再生連絡会

第33回天竜川天然資源再生連絡会の様子

日 時

平成29年6月23日(金)13:30~16:30

場 所

天竜川漁業協同組合2階会議室

出席者

たかはし河川生物調査事務所
       :高橋勇夫農学博士
中部大学   :村上哲生教授
京都大学   :竹門康弘准教授、高橋真司
天竜川漁協  :平野國行組合長、中谷総務委員長、鈴木業務委員長、
        谷髙事務局長
国土交通省浜松河川国道事務所調査第一課
       :林課長
静岡県経済産業部水産資源局水産資源課資源増殖班
       :吉川班長
静岡淡水魚研究会(静岡市環境学習指導員・静岡県環境学習指導員)
       :足立氏
電源開発(株)
 茅ヶ崎研究所:喜多村雄一シニアエキスパート
 中部支店  :中嶋副支店長
 佐久間電力所(天竜)
       :中川(京)所長代理
  用地G  :畠グループリーダー、服部GM、上野
 
(株)JPビジネスサービス社会環境部環境防災システムG
       :小林グループリーダー

テーマ

  1. 活動報告
    1. 高橋農学博士
    2. 村上教授
    3. 竹門准教授
    4. J Power
  2. 講演会について

内 容

高橋農学博士

  • 2016年におけるアユ仔魚の流下状況について報告がなされた。
  • 2016年の流下は大変好調であり、総流下量の推計としては、調査を開始した1996年以降2番目に多い67億尾であった。
  • 流下量が著しく減少した2009年以降、産卵期が短くなり、ピークが早くなる傾向にあるが、これは人工アユの比率が増加したためではないかと考えられる。

村上哲生教授

  • 東海地方の他河川(飛騨川・矢作川・庄内川)と天竜川の付着藻類の現存量を測定・比較したところ、天竜川ではクロロフィルαの比率が低く、生きた藻類の割合が低いことが分かった。他方、生産速度については他の河川との有意な差は見られなかった。
  • 生産速度については、「明瓶・暗瓶法」によって酸素濃度の増減を測定することで算出している。

竹門康弘准教授

  • 湧水を利用したアユ産卵床の造成計画について、航空写真と横断測量成果より抽出した結果、ポテンシャルが高いと判断された8.2~8.4km左岸側の砂州を候補地点とすることになった。事前調査の結果、当該地点には本流部に比べて透明度の高い水が確認された。また、下流には産卵床に適したレキも確認された。
  • 旧副流路の掘削・埋戻しを行うことで、湧水量の増加を図り、その下流に産卵床となる瀬を造成する。
  • 静岡県から、元々の伏流水路と造成した流路では微妙に水温差があるので、掘削による環境影響が無いか確認するよう助言があった。

喜多村雄一

  • 今年の佐久間ダム上流域は出水が少なく、低濁度で推移しているが、今のままカラ梅雨が続くと渇水の懸念が出てくる。
  • 佐久間ダムの濁水防止膜について、膜ありと膜なしの状態のグラフが比較され、膜ありの方が早期に濁水を排出できている状況が紹介された。
  • 漁協が9月・10月に造成を予定している産卵床計画についても紹介があった。竹門准教授は8.2km地点で湧水・旧流路を活用した計画であるのに対し、漁協は7km地点で自然砂州をそのまま掘削する計画である。

講演会について

  • 再生連絡会の活動内容を外部の方にも紹介するというシンポジウムの趣旨を鑑みると、全体質疑の時間が短いのではとの意見があり、時間を拡大することとした。あらかじめ質問票を配付、休憩時間に質問票を回収し、質疑応答は質問票に回答する形式とする。