第27回天竜川天然資源再生連絡会

第27回天竜川天然資源再生連絡会の様子

日 時

平成28年4月12日(水)13:30~17:00

場 所

天竜川漁業協同組合2階会議室

出席者

たかはし河川生物調査事務所:高橋勇夫農学博士
中部大学   :村上哲生教授
京都大学   :竹門康弘准教授
いであ株式会社:兵藤グループマネージャー
天竜川漁協  :平野組合長、中谷総務委員長、鈴木(長)業務委員長、
       高田総務副委員長、谷髙事務局長
静岡淡水魚研究会(静岡市環境学習指導員・静岡県環境学習指導員)
       :足立氏
国土交通省浜松河川国道事務所調査第一課
       :林課長
静岡県経済産業部水産資源局水産資源課資源増殖班
       :吉川班長
 
電源開発(株)
 茅ヶ崎研究所:喜多村シニアエキスパート
 中部支店  :中嶋副支店長
  用地G   :畠グループリーダー、上野
 佐久間電力所 浜北区駐在
       :佐藤所長代理、金山
(株)JPビジネスサービス社会環境部環境防災システムG
       :小林グループリーダー、石井

目 的

  1. 活動報告
    1. 高橋農学博士
    2. 村上教授
    3. 竹門准教授
    4. J Power
  2. 国土交通省浜松河川国道事務所より

内 容

高橋農学博士

  • 11月・12月の降雨量増加によるアユの産卵・ふ化に与える影響について報告がなされた。親魚数からの期待値と、流下量調査からの推定値を比較したとき、年度によって明らかにバラつきがあり、乖離が大きい年度は、産卵期に出水が起きていたことが分かった。
  • アユの放流効果が1990年以降低下しているという指摘について、漁獲量と放流量の1981-1990年のデータと2001-2014年のデータ比較により検証した結果が報告された。2001年以降では、1990年以前に比べて、放流効果が四分の一程度まで低下していることが分かった。その原因としては、冷水病やカワウによる食害の他、ダムの経年化に伴う河川環境の悪化、放流種苗の大型化等、複数の可能性が提示された。

村上哲生教授

  • 次年度の研究テーマである「天然アユ漁再生のための河床洗浄実験」についての説明が行われた。
  • 河床洗浄実験の様子や調査結果を連絡会HPに掲載し、対外発信したいとの提案がなされた。
  • 新たな情報提供者(豊田市矢作川研究所職員)については、オブザーバーとしての参加が可能かどうか打診することになった。

竹門康弘准教授

  • 湧水ワンドを創出し、瀬に湧水を供給することで、アユの産卵を促進する実証実験の結果が報告された。モニタリングの結果、実験を行った箇所では、実際に湧水量が増え、濁度がゼロで、柔らかい河床が形成されていることが分かった。
  • 複数年の航空写真を比較して、湧水が生じている箇所を経年分析したところ、昔流路だった箇所に土砂が堆積すると、湧水ワンドが形成される可能性が高いことが判明した。
  • 砂州波長と砂州の寿命の関係について分析した結果、砂州波長が短い方が、砂州の寿命が短く、出水時に新たに形成される湧水環境が増えることが分かった。
  • 今後の方針として、短期的対策と長期的対策の二つが示された。短期的対策は、置き土や河床耕耘により瀬を造成することである。長期的対策は、ダムからの土砂供給量を増やし、波長の短い砂州が形成・維持されるようにすることである。
  • 短期的対策について、兵頭氏から、スケジュールと適地の抽出方法に関する説明がなされた。
  • 高橋氏より、適地の抽出にあたっては、現在のアユが主産卵域にしている、河口から9km前後の地点に絞り込んで検討すべきとの助言がなされた。

喜多村雄一

  • 平成27年度の佐久間貯水池の状況、河床砂礫の洗浄実験、アユのマイクロアレイによる濁水影響評価、環境評価と改善の目標についての報告が行われた。
  • 昨年度の産卵床造成に係る計画変更経緯と今後の対策について、連絡会HPにコメントとして掲載することが提案された。
  • 今後の活動方針については、砂礫洗浄実験やマイクロアレイによる濁水影響評価等を継続するとともに、フェーズ1の成果を整理して、平成29年に報告会またはワークショップの形で一般公開したいとの提案があった。

国土交通省浜松河川国道事務所調査第一課 林課長

  • 平成28年度に浜松河川国道事務所が予定している工事内容について、情報提供が行われた。