ダムには魚道がありますが、アユがダム下に下る方法はないのでしょうか。
ダムに建設された魚道まで降下中のアユを誘導できれば、魚道を下らせることができます。実際、四万十川などではそれに成功しています。
しかし、多くのダムではダム下流に下ることができずに、ダム上流で産卵(多くの場合無効産卵になります)したり、取水口に迷入したりするようです。つまり、ダム上流に遡上することで事実上、無効分散のようになっていると言えます。
ダム湖が大きければ大きいほど、また取水量が多ければ多いほど、アユがダム下流に降りることは難しくなります。対策として、矢作川では発電取水口に迷入したアユを漁協の人たちが産卵場まで「汲み下げ放流」しています。また、島根県の江の川では、一定期間(5年間の予定)ダム上流に遡上できないようにして、無効分散を防止し、そのことによって天然アユが十分量まで増えたら、再びダム上流に遡上させるという取り組みを行っています。
(たかはし河川生物調査事務所代表・高橋勇夫)
仔鮎は流れに漂って泳いでいるため、止水域であるダムにおいて仔鮎が魚道へ行けるような工夫、改良を今後も検討していきたいと思います。
(電源開発株式会社・喜多村雄一)