8月4日に天竜川漁協が初心者対象の「友釣り教室」を開催。友釣りの名人によるマンツーマンのレクチャーを受けながら、13名が初めての友釣りを楽しみました。今回、取材班の家族で中学1年生の男子が参加しました。参加者最年少・12歳の友釣り体験記をお届けします。
「天竜川でアユの友釣り教室があるから行こう」と父が言ってきた。アユの友釣りがなんだか分からなかったけれど、生き物を捕まえるのは好きだし、道具も全部用意してくれ、名人が教えてくれるというので、面白そうなので参加してみた。
アユは食べるとおいしいので、そっちのほうも楽しみだ。父も「釣れたら一夜干しを作ってやる」とやる気マンマンだった。天竜川漁協という場所で、釣りに使うアユを飼っているのを見たけれど、家の近所のスーパーで売っているアユよりもキレイだったので驚いた。
教えてくれたのは高井さんという人で、「6月、7月で700匹は釣ったかな。1日の最高は70匹だよ」と言うから、すごいなと思った。釣りに詳しい父も「すごい名人に違いない」とアセっていた。釣りをした場所は、天竜川と気田川という川が合流する場所で、水がすごくきれいだった。
友釣りの準備は全部、高井さんが説明しながらやってくれた。竿の長さより少し仕掛けが長くなるように調整し、オトリアユを付けるまでアッという間。やっぱり名人に違いないと思った。
最後に高井さんは、服の中から出した小さな箱からアユを引っ掛けるための掛け針というイカリのような形をした針を出した。「これが名人の秘密だよ」と、周りのオジさん達が笑っていた。ちょっとしか見えなかったけど、箱の中にはすごい数の針が入っていた。
糸の調整や結び方はちょっと難しくて分かりづらかったけど、オトリアユの付け方はわかった。鼻輪を通して、尻ビレのところに針を刺せばいいのだ。魚が暴れなければ簡単にできそうだ。「目の回りを隠すように持つと、魚は暴れない」と高井さんが教えてくれたので、言われた通り持ってみたら暴れなかった。
高井さんがオトリアユを泳がせて、「はい、じゃあ竿を持って」といきなり僕に竿を渡した。少しアセった。
意外に軽いけど、こんな長い竿をどうすればいいのかと思っていたら、「竿尻を持つ手は腰につけて、先を持つ手は脇を締めて」と高井さんが教えてくれた。言われた通りに持ってみたら、竿が動かないように持てた。
目印の位置を調整しながら、オトリアユをうまく泳がせるのは難しかった。そばで見ていた父が「上手にできている」と言うが、これで本当に魚が釣れるのか!? 川の中でジッとしているだけなので、だんだん退屈にもなってきた。
ときどき高井さんがオトリアユの場所を変えたり、竿の持ち方を直したりしてくれるが、全然釣れる気配がない。一緒に参加している周りの人たちの中には釣れている人が出て来たので、余計にアセってきた。
ときどき、グイッと竿の先が動くことがあった。でも、それは魚のかかった合図じゃないみたいだ。「かかったときはドーンッと重くなるからすぐ分かる」と言われているので、とにかくガマンしようと思った。30分くらいたった。そうしたら、いきなりドーンッ、グググググと手応えがあった。
おおっ!と思ったら、「竿を立てて!立てて!」と声をかけられたので、グイッと竿を立てたら、水の中から魚が2匹出て来た。「やった!」とうれしくなった。高井さんが網で魚をすくってくれた。釣れた魚を見てみると、すごくキレイで熱帯魚みたいな色をしていた。
「ありゃー、これはオイカワだ」と周りの人たちが残念そうに言う。釣れたのは、アユではなくオイカワという魚のオスだった。でも、大きさは20cmくらいあるし、とにかく色がキレイで立派だった。
「これは食べられるの?」と父に聞くと、「食べられるけど、あまりおいしくないよ」と言われて、少しがっかりした。でも、とにかく魚が釣れて良かったし満足したので、釣りは止めて川で泳ぐ事にした。釣りをしていて暑かったので、最高に気持ちが良かった。 他の参加者の人たちは、ひとりを除いてみんな2匹も3匹もアユを釣って、うれしそうにしていたので、少しうらやましかったけど自分も釣れたからいいやと思った。 1匹も釣れなかったのは父だった。
いつもは、釣りに行くとじゃんじゃん釣って自慢してくるけど、この時は全然釣れなかった。だから、父に勝てたので少しうれしかった。それから、帰りに高井さんからアユをもらったので、帰って一夜干しを作って食べたけど、すごくおいしかった。父は「リベンジする」と言っているので、おもしろいから自分もまた行くつもりだ。