解禁!!天竜川アユ釣り2015 6月1日日の出から

アユの遡上が盛んな今年の天竜川。解禁日の風物詩であるエサ釣りやドブ釣りだけではなく、大きな魚体が狙える友釣りに挑む釣り師も少なくありません。今年は解禁日におけるアユ釣りの王道=友釣りの様子をお伝えします。

友釣りの入漁者が多く集うのは、秋葉ダム下流・雲名橋付近の天竜川本流。この日は10数名の釣り師が川に並ぶ。鍬竹さんは昨年の解禁日もこの付近で竿を振り、午前中だけで約50尾という大爆釣を記録しました。

鍬竹大介さん(35) 地元、天竜・二俣出身。物心ついた頃にはアユを釣っていたという筋金入りの釣り天狗で、全国の友釣りトーナメントに出場していたほどの腕前。昨年の解禁日は友釣りで最多となる53尾という釣果を上げている。

 午前6時過ぎ、鍬竹さんがオトリを入れるとわずか2~3分で最初の魚信(アタリ)が。手慣れた手つきで危なげなく取り込んだのは、体長約10cmの遡上もの(下の写真)でした。幸先の良いスタートに好釣が期待できましたが、思ったようにいかないのも友釣りの難しさです。この日は魚の反応にむらがあり、時間や天候(明るさ?)によって極端に釣果が偏ります。短時間に続けて釣れたかと思えば、30分ほどオトリを泳がせても反応がない場合も。同じ場所で釣っていた鍬竹さんの釣り仲間達も同じような傾向で、自然や生き物を相手にする行為の奥深さを感じさせます。

 「昨日釣れたからと言って、次の日に同じ場所に入っても釣れない事は珍しくありません。川はその日ごとにコンディションが変わりますから、そこを見極めるのが難しい。結局、毎日のように川に通うのが一番の方法です」と笑う鍬竹さん。以前は週5日も友釣りに費やしたというほどで、その言葉には含蓄があります。

 昨年、鍬竹さんが爆釣した場所に、今年は何人もの釣り師が入っていましたが、芳しい釣果はあがっていませんでした。そして、今年は鍬竹さんとその仲間が入った場所が、最も釣果が上がっていたのは偶然ではないようです。

 この日、鍬竹さんには午前中の4時間ほどで10数匹の釣果がありました。本人には不満の残る内容かもしれませんが、数字としては悪い物ではありません。近くで釣っていてもボウズ(釣果ゼロ)の入漁者もいたのですから、子供の頃から天竜川の魚(アユの他、アマゴやニジマス、ウナギ)を獲っていたベテランの面目躍如です。

 この時期の友釣りでは、早い時期に遡上して縄張りを形成し始めた少し大きめの魚体が狙えます。平均13cm前後、大きいものでは18cm程度の体長になりますが、鍬竹さんがこの日に釣ったアユは最大で約15cmとまずまず。これから秋に向けて、どのような釣果が上がるのか、シーズンの盛り上がりを期待させる結果でした。

 今年の遡上は昨年と比較すると良好のようです。ちょうど解禁日と重なった船明ダム魚道における定期調査でも、遡上してきた多数の魚体を確認しており、その下流では遡上を始めようとする稚アユの群れが力強く遊泳していました──解禁日の釣果は以下の通りです。

●友釣り/13cm~17cm程度の魚体が雲名橋上流で0尾~28尾、下流で0尾~6尾、秋葉ダム下・中島では0尾~15尾。 ●エサ釣り/国道1号線下・右岸側で0尾~50尾、飛龍大橋や塩見渡橋上流で0尾~50尾。船明ダム上流域では秋葉ダム下・中島で0尾~80尾。 ●ドブ釣り(毛針)/船明ダム上流域・竜山グラウンド前で30尾、船明ダム下流域・豊岡親水公園付近で50尾ほどでした。

 時期的に縄張りを持ったアユはまだ少ないものの、その姿は多く見られますので、シーズン最盛期の好釣果も期待できると思われます。