サツキマスダービー2013

サツキマスの遡る天竜川を復活させようと平成12年から行っている『サツキマスダービー』も14年目を迎えました。今年はサイズ、釣獲尾数ともに、近年にない好結果となっており、一昨年、昨年に放流したサツキマスの遡上数が増加していることが予測できます。また、天竜川漁協では、ウグイの生息状況の確認を目的とした『ウグイダービー』も併せて行なっています。

■サイズは10cmアップ、釣獲は激増

今年は昨年と比べて、全体的に魚体のサイズが明らかに大きくなっていることが確認できました。今年優勝した魚体のサイズこそ、昨年の優勝記録に惜しくも6mm及びませんでしたが、2位以下10位まですべて40cm台の魚体が並んでおり、昨年の記録に対して全体でおおよそ10cmのサイズアップを果たすという好結果になっています。また、ひとりの参加者が釣獲した尾数は(放流数が同じ)昨年に比べて、一気に7倍に激増。この記録は14年間で最多の記録となっています。同時に天竜川漁協に寄せられるサツキマスの釣獲報告も、例年の100件レベルから300件超と大幅に拡大しており、相当数のサツキマスが遡上していることが予測できます。

■今年の好結果を生んだ理由は…?

顕著だったサツキマス遡上数の増加について考えられるのは、第一に川と海のコンディションが良かったことが推測されます。これには水質、気象、海流、あるいは捕食者という要素が絡んできますが、この中で何が良かったのかまでは残念ながら分かりません。ただ、放流した魚にとっての生育・生活環境が良くなっていたということは間違いないと思われます。また、絶対数は少ないであろうと思われますが、アマゴの天然物(放流後に河川に定着し世代交代をしたものを含む)が海降している可能性も捨てきれません。同じサツキマスでも、海降・遡上型の特徴であるスモルト化(銀毛)したものと、未成熟魚・陸封型に見られる赤点が残ったものがいるように、魚体にも個体差や明らかな違いがあります。それが生育環境によるものか、魚体の由来によるものかなど、今後に詳しい調査や分析が必要だと天竜川漁協では考えています。