Q&A シンポジウム2017編

当日、会場で寄せられた質問をまとめました。TOPへ。

環境DNAを利用して藻類の質と量を測ることはできないでしょうか。

最近、環境DNAの研究が非常に進み、学会の論文も増えています。そんな中での大勢の着目点は、魚や両生類、外来種がいるかどうかの判定をするといったところです。これは環境DNAの研究でターゲットにしている「メッセンジャーRNA」というものが非常に壊れやすいからで、私たちが使っているDNAのマイクロアレイという検査方法も、それを早く捕捉するための一つの手法なのです。環境DNAは対象とする水塊の中の全てのmRNA(メッセンジャーRNA)が入っている中で、瞬間的にそこにいる魚の量が分かるので、流量が上下流で一定と考えれば、河川の上流域、中流域、下流域での魚の量が多いか、中ぐらいか、少ないかということが分かるのです。
すなわち、環境DNAで調べていることは例えば排泄物だとか代謝が多いものを水中でとらえるということが基本の調査法になっています。このため、付着藻類がどんどん再生産していくとそれが水中に流れて出してくるかどうかという点で非常に難しいと思います。付着藻類の代謝の早さという点、この辺は村上先生のご専門ですが、アメリカの論文でもそういった藻類を対象にした環境DNA調査の報告がされているようなので、注目しながら、もう少し研究分野の変化などに対応していきたいと思っています。
(喜多村雄一工学博士/電源開発(株)茅ヶ崎研究所河川環境技術専任部長)

(喜多村雄一工学博士/電源開発(株)茅ヶ崎研究所河川環境技術専任部長)