アユのエサはどのように増やすのですか?
アユの餌となる付着藻類も植物ですので、光と栄養分 (窒素・リン等) が必要です。川では湖と異なり、まず栄養分が不足することはめったにありません。天竜川での餌不足は光が足らないことが原因と考えています。光は水中に入ると深さに応じて弱くなります。水中に濁りがあると減衰率は特に大きくなります。濁りの程度にもよりますが、天竜川では30 cmの深さで水の表面の光の強さの50~60 %に落ちます。濁りの原因となっている細かい粘土が礫の表面に堆積し、藻類が付着する場所を覆ってしまうことも問題です。対策としては、濁りを制御することが最も根本的な対策となりますが、当面、礫の表面に積もった泥を水圧で取り除き、新鮮な藻類が付くことができる礫面を露出させる方法を検討しています。この処理は藻類の被膜が厚くなり過ぎた、いわゆる「アカグサレ」の対策としても重要です。作業の場所はアユが餌を採る瀬の部分を考えています。
(村上哲生理学博士/中部大学応用生物学部環境生物科学科教授)