Q&A シンポジウム2017編

当日、会場で寄せられた質問をまとめました。TOPへ。

アユのエサはどの当りを中心に増やしていくのですか?

アユは中流域の魚です。上流域では狭い谷に木が生い茂っているため、成育に必要な光が不足してアユの餌となる付着藻類が育ちません。一方、下流域は光は十分なのですが水に濁りが増え光が川底まで届かなかったり、下流に行けば行くほど藻類が付着できる礫が少なくなるという問題があるため、付着藻類の成育には不都合なのです。そのため、付着藻類が生える場所は中流域に限られます。アユの餌場を下流の方にも広げたい、上流にも広げたいというのは無理な相談で、限られた中流域をいかに上手に維持して使っていくかが大事だということがおわかりいただけると思います。
しかし、この問題は中流域だけで片付くものではありません。窒素やリンなどの栄養塩や濁りの発生源などの多くは上流にあり、さらに中流域で消費された栄養塩の残りは下流に流れていくため、川全体の集水域を含めた広域的な問題として考えなければいけないからです。上流が発生源の栄養塩をどう規制するか、海に流れ込む栄養塩の量をどの程度に維持していくかという問題につながっていきます。
(村上哲生理学博士/中部大学応用生物学部環境生物科学科教授)

(村上哲生理学博士/中部大学応用生物学部環境生物科学科教授)