Q&A シンポジウム2017編

当日、会場で寄せられた質問をまとめました。TOPへ。

本年、アユの成育が良くないと言われるが原因は何ですか?

正確なところは現段階ではわかりませんが、今年は遡上量がかなり多かったことが原因かもしれません。遡上量が多いと、餌の競合がこれまでのアユが少なかった年よりも厳しくなり、1匹当たりの餌の量が減ってきます。そして、餌の分け前が減ったため成長がちょっと遅くなる。恐らくそういったアユの密度の影響が出ているのではないかと思います。これは一般的にどこの河川でも起きることですが、天竜川の場合、元々餌の量そのものが非常に少ないので、ちょっとアユが増えただけでも成育が悪くなるということが起こりやすいということがあるかもしれません。
天竜川では近年は小さいアユが多く、釣れる魚の平均サイズが小さいという傾向が見られます。元々濁りでアユの餌となる付着藻類(コケ)の成育が悪かったり、河床に泥の沈着が多かったりと、餌の質量ともに他の河川よりも劣化しているということがあり、成育不良は起こりやすくなっています。
(高橋勇夫農学博士/たかはし河川生物調査事務所代表)

(高橋勇夫農学博士/たかはし河川生物調査事務所代表)