上流に向かって行くに従って陸ハミを含むハミ跡が増えてきたこともあって、毎年6月の解禁日に餌釣りで賑わうこのエリアでの調査結果に期待したのですが、確認できたハミ跡のほとんどはボウズハゼのものでした。
ブルドーザーによる河床耕耘実証実験の効果もあって、6月1日の解禁以降、好調な釣果報告があった雲名橋上流域ですが、その後、アユがいなくなり、石の表面には藻類や泥が大量に付着していました。ここでもわずかですが、緑藻類が固着していない部分にハミ跡が見られました。
もともとは川幅も狭く流れが急で友釣りがやりにくかった鮎釣ですが、川幅を広げ巨石を投じて流れに緩急をつけました。ハミ跡は流れの急な下流側に集中して見られました。古いハミ跡はたくさん残っていたので、「生息していたアユの多くはすでに降下したのかもしれません。」(高橋博士)流れが滞っている水際付近は糸状緑藻類の付着が著しく、瀬にも陸ハミはほとんど見られませんでした。
残念ながら、今回の目視によるハミ跡観察は、過去においても例を見ない最悪な結果となってしまいました。「全体的にアユが薄いんです。濁った状態が長く続いたことが原因かもしれません。」(高橋博士)そのため、「地点間の差が出にくいため、評価は難しくなる」とのこと。産卵床造成に向けて環境が整い、来年の遡上のころには状況が好転することを祈るばかりです。
環境DNAとは、海や川、土壌などの環境に含まれる生物のDNAのこと。生物は生きている限り、常に皮膚や粘液、排泄物などを放出しているのですが、水中に溶けたそれらの成分を分析することによって採水された地点に生息する生物の種類やおおよその量が把握できる、つまり、今回はアユの生息する状態などがわかるのです。
ただ、分析には1ヶ月程度かかります。レポートがまとまり次第、このサイトで報告する予定です。お楽しみに……