▲前日まで重機の音が響いていた河川敷に、子どもたちのはじける声が響き渡る。産卵を待ちわびた親アユたちが産卵床に解き放たれました。
▲会場に着くなり、さっそく漁協が用意した説明用の水槽の中のアユに興味を持った。
11月1日、完成したての産卵床で「親アユの放流会」が開かれました。今回、招待されたのは天竜川左岸の磐田市にある『聖隷こども園 こうのとり豊田』年長組の31人の子どもたち。
今回は放流場所が河川敷からかなり奥に入った、幼児にとっては足場の不安定な地形ということもあって、送迎には電源開発(株)の四輪駆動車のサポートを受けました。
到着するなり彼らが興味を持ったのが、漁協が解説用に用意した水槽の中を泳ぐアユたち。目線の位置で泳ぐアユを初めて見たからでしょう、水槽の中で泳いだり留まったりしているアユを飽きることなくずっと見入っていました。
▲中には親がアユ釣りをしていることもあって見慣れている子供がいるのは、さすが地元。もちろん、初めて泳いでいる魚を見る子供も。
▲水槽に入れた当初は濃灰色だったアユも、時間の経過と共に周りの環境の影響を受け色が変化。銀色に輝いてきた。
▲天竜川漁協の平野組合長の挨拶で放流会が始まった。
31人の子供たちにとっては初めての経験となった放流会。足下が不安定なこともあって、最初は恐々とバケツを傾け中にいる親アユを産卵床に放していましたが、2回目、3回目と慣れてくると、ぎこちないながらも手づかみで川に放つ子も。あちこちで「元気でねぇ~」「赤ちゃん生んできてねぇ~」「バイバ~イ」など、お思い思いの言葉を投げ掛けていました。
当初、天竜川漁協では放流された親アユがこの産卵床付近に生息、産卵することを想定していたのですが、水位や流速の変化、濁度などの影響なのか、今回は、残念ながらすべての親アユは本流へ移動してしまったようです。
▲この日、用意されたアユは約60kg(約700尾)。漁協のトラックで運ばれた親アユは8尾づつバケツに振り分けられ子供たちの手に渡された。写真を撮っているのは取材に訪れた静岡新聞の記者。
▲足下が不安定な地形のため、漁協や電源開発のスタッフが産卵床に入り、万が一の転落に備えた。
▲この日は一人当たり2~5回ほど放流できた。最後のほうでは手づかみにもすっかり慣れたようだった。