2025年度 第2回 天然アユ資源の再生に取り組む会

◆議事概要

  1. 日 時:2025年11月21日(金) 13:00~14:30
  2. 場 所:国道1号線から約500m上流の左岸側
  3. 議 案:
    1. 開会挨拶(鈴木会長)
    2. 今年度の産卵床造成作業の確認
    3. 国土交通省 浜松河川国道事務所からの話題提供(国土交通省 浜松河川国道事務所)
    4. 第2回取り組む会の講評(鈴木会長)


1.開会挨拶

    (鈴木会長)
  • 先月10月20~22日にかけて産卵床の造成を行いました。天候の悪い中また肌寒い中作業をいただきました。増水があり、産卵が心配されましたが、広範囲で産卵が確認されました。海の状態がどのようになっているかわかりませんが、アユが戻ってくるのが楽しみです。本日はよろしくお願いいたします。

2.今年度の産卵床造成作業の確認

    (喜多村アドバイザー)
  • 今年度は産卵床としての水路(幅18m、長さ50m)造成と水路内流量の増加を目的とした水路開削を実施した。
  • 流量増加をおこなうため、霞提と水中に導流堤の造成を行った。また、流量確保のため水路の掘削も行っている。
  • 今年度の造成地点は砂州の中央を通過する場所であり、良い材料を残しながら造成を行うことができた。

  • (高橋アドバイザー)
  • 産卵は11月11日に初めて確認された。
  • 産卵床の全域で産卵が確認されており、産卵場としての有効面積率は80%程度。自然河床を造成したパターンとしては最高レベルである。また、産卵の密度も比較的高い。
  • 一方で産卵床内に砂が多いため、アユが産卵している深さは浅くなっている。
  • 今年度の産卵の状況は過去1番か2番のレベルである。
  • 今年度はアユの遡上が多かった。また、濁りの長期化が少なくかつ、高濁度発生も殆どなかった。このため、アユの生残率が高く、親となるアユが多かったためと考えられる。
  • 天竜川のアユは浅い場所で産卵するケースがあまりない。産卵床の誘因効果があったのではないかと思われる。
  • 今年度造成した産卵床からは1億尾程度の流下量が見込まれる。
  • 濁りの影響が小さい年はアユの生存率が高くなり、産卵に繋がっている。このことから、天竜川漁協で実施している産卵場づくりと親魚の保護は機能している。夏場の濁りさえなければもっと高い資源水準で回るポテンシャルが天竜川にある。

  • (質疑1)
  • 昨年度と異なる地点で産卵床を造成した理由を伺いたい。
  • →天竜川の分流に産卵床を造成した事例がなく、いろいろなバリエーションの造成に対してアユがどのように反応するかを確認する目的があった。また、ここ数年造成してきた国道の下流側は今年は砂の含有量が多く、それと比較するとここは河床に砂が少なく、かつ礫の粒径もアユの産卵に適していた。
    →昨年度の地点は砂が堆積しており、これを除去するのが難しい状態であった。

    (質疑2)
  • 産卵床からおおよそ1億尾の流下量が見込まれるとのことだが、通年だとどの程度のアユが再び天竜川へ戻ってくるのか。
  • →年変動が大きいが、長期平均すると海に出た個体に対しおおむね1000分の1の割合で戻ってくる。

    (質疑3)
  • アユの流下はいつごろまで続くのか。
  • →少数であれば年越しまで流下がある。ピークは11月後半頃になる。

    (質疑4)
  • 海の状態が悪いとアユの死亡率が高くなるとのことだが、具体的にどの様な状態のことを指すのか。
  • →ベースは高水温だと考えている。アユは変温動物であるため、水温が高いと代謝スピードが高くなりすぎて餌が大量に必要となる。しかしながら、近年は餌が大量にあることが少ないのでアユが餓死してしまう。

    (質疑5)
  • 酸性雨の影響により世界的にシャケの漁獲量が減っていると聞いた。アユの仔魚のような小さな魚にも酸性雨の影響が大きいと思うが、漁獲量の低下にこれが影響している可能性はあるか。
  • →因子の一つである可能性は否定できないが、アユを観察している限りでは水温の上昇がベースにあると考えている。

    (質疑6)
  • 水温の上昇が30年後のアユの生態に与える影響を教えてほしい。
  • →アユの傾向を見ると河川の中では産卵のピークを少し遅らせる傾向がある。また、遡上期は変化していないことから、海で生活する期間を短くするといった対応をしている。

    (質疑7)
  • 濁りが強いと再生産や成長に影響を与えるとのことだが、具体的にいつ頃の濁りに影響を受けるのか。
  • →5月から9月の間で濁りがあるとエサ不足を起こす。また、2週間程度の長期の濁りが発生するとこれがストレス要因となり冷水病にかかりやすくなる。

    (質疑8)
  • 沿岸部で実施されているシラス漁により流下したアユが混獲されている。これの対策を行った事例があれば教えていただきたい。
  • →高知県の事例であるが、シラスパッチ網の解禁時期を調整や、沿岸に近づかない漁業規制をして住み分けを行った。

    (質疑9)
  • 本川沿いへの造成と分流への造成を比較すると、来年度以降はどちらのタイプで造成するのが良さそうか。
  • →今年度造成した箇所と同じような場所があれば、流量のコントロールがし易いなどの理由から分流への造成が良いのではないか。

3.国土交通省 浜松河川国道事務所からの話題提供

    (国土交通省 浜松河川国道事務所)
  • 国土交通省では河道を整備して水の流下を向上させる取り組みを実施しています。河川の整備をするにあたり、どのような方法が環境にいいのかを相談しながら取り組んでいきたいと思いますので、これからもご協力をよろしくお願いいたします。
  • 8月に実施された天竜川天然アユ資源の再生に取り組む会にて天竜川の環境に関する計画を検討するとお伝えした。計画案の資料作成が進んできたことから、今後、皆様にご意見を伺う予定である。

4.第2回取り組む会の講評

    (鈴木会長)
  • 産卵床の造成は天竜川漁協が生き残っていくために大事な事業だと思っています。皆様のご協力のもと取り組んでいきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

【出席者】

会 長 鈴木長之 天竜川漁協 代表理事組合長
副会長 油田健一 電源開発(株) 中部支店長代理(用地担当)
メンバー 平野國行 天竜川漁協 理事・総務委員長
野澤利治 天竜川漁協 理事・業務委員長
鈴木 榮 天竜川漁協 理事・総務副委員長
平野利明 天竜川漁協 理事・業務副委員長
谷髙弘記 天竜川漁協 事務局長(事務局)
白石はつみ 国土交通省 中部地方整備局 浜松河川国道事務所 流域治水課長
鈴木紀光 電源開発(株) 中部支店用地グループリーダー(事務局)
荒巻亮二 電源開発(株) 中部支店用地グループメンバー(事務局)
三春凜佳 電源開発(株) 中部支店用地グループメンバー(事務局)
奈村佳紀 電源開発(株) 佐久間電力所長代理
アドバイザー 高橋勇夫 たかはし河川生物調査事務所 代表
有川 崇 近自然河川研究所 代表
喜多村雄一 茅ヶ崎水域環境研究所 代表
オブザーバー 芥川 哲 国土交通省 中部地方整備局 浜松河川国道事務所 工務第一課長
平子哲也 国土交通省 中部地方整備局 浜松河川国道事務所 中ノ町出張所長
記 録 石井健一 (株)J-POWERビジネスサービス エンジニアリング部 土木解析グループ