1．開会挨拶

(平野会⾧)
• 今回は、遠路はるばる高知に来ていただき、ありがとうございます。また、今回は地元の電源開発(株)高知電力所の近間所長、渡瀬さんにもご参加いただいています。天竜川では、アユの産卵床がなかなか上手く行かず、このため、産卵床で成功している奈半利川を視察するために現地に来ました。百聞は一見に如かずという思いですので、奈半利川での取り組みをご説明頂いて、ここでの成果を天竜川へ持って帰りたいと思っております。今回の視察が有効な時間となることを期待しております。

2．奈半利川産卵場視察

(近間所長)
• 奈半利川は全長約60kmの河川で、下流から平鍋ダム、久木ダム、魚梁瀬ダムの3つのダムがある。産卵床は奈半利川河口から700m上流にあり、海の干満の影響を受けず、ダム放流量が減っても干上がらないようにしている。
• アユの産卵床造成は平成16年から実施していて、今年は11月10日に奈半利川左岸側に全長約140m幅12mの産卵床造成を行った。造成は重機で水路を作り、砂利を投入して敷き均し、仕上げは人力で踏み固め、鳥よけテグス、テープを設置して完成させた。
• 今年は産卵床造成後に大きな出水は無く、産卵床造成後直ぐに産卵が始まった。
• 奈半利川河口から約4km上流の田野堰では、アユが遡上できるように魚道が作成されており、改修も行っている。3月上旬にはアユの遡上が始まり、大変多くのアユが見られる。

3．平鍋ダム、魚梁瀬ダムの視察

(近間所長、有川アドバイザー)
• 平鍋ダムは、コンクリート重力式ダムである。平鍋ダム直下流右岸側には、ダムに堆積した土砂を下流に流すための土砂投入口（シューター）があり、現在は年間約1万m³を投入している。次年度からは年間1万5千m³に増量する予定である。
• 土砂投入前の平鍋ダム下流河道は砂利や玉石などの流下土砂が少なく、巨石が主体の河床であった。土砂投入後は、出水のたびに砂利や玉石が流下するようになり、巨石同士の間隙にこれらの河床材料が詰まる状態に変化した。これによってアユの生息環境も改善された。ダム下流の河床環境の改善には、砂利や玉石といった粗めの河床材料が出水のたびに掃流される河床状態に戻すことが大事であり、天竜川でも同様の対策が望まれる。
• 魚梁瀬ダムは、ロックフィルダムで1965年に運転を開始している。ダムの中央部には水を通さない粘土質があり、その外側には砂や礫などのフィルターで覆い、さらにその外側を岩の塊のロックが積まれている。
• 魚梁瀬ダムの濁水対策として選択取水設備があり、貯水池内の濁度分布に応じて貯水池の表面あるいは中層より取水することができ、状況に合わせてきれいな水を取水できる。

4．第4回取り組む会の講評

(平野会長)
• 皆様、本日はお疲れ様でした。有川アドバイザーにはご指導いただきありがとうございました。本日、伺った奈半利川での良い取り組みを、天竜川でも取り入れてやっていきたいと思います。天竜川はヨチヨチ歩きを始めたところです。目指すゴールに向けて、引き続き皆さまのご協力をお願いいたします。

5．次回開催の日程調整

(事務局)
• 次回の取り組む会は、5月頃を予定しており、事務局にて日程調整をする。

【配布資料】

• 資料 1 天竜川天然アユ資源の再生に取り組む会　名簿
• 資料 2 2023年度「天竜川天然アユ資源の再生に取り組む会」年間スケジュール