第3回天竜川 天然アユ資源の再生に取り組む会

◆議事概要

  1. 日 時:2022年11月16日(水)13:30~15:00
  2. 場 所:国道一号線天竜川橋約500m下流左岸側「アユ産卵床造成場所近傍」
  3. 議 案:
    1. 開会挨拶(平野会長)
    2. 今年度の産卵床造成作業の確認(高橋先生)
    3. その他(静岡県)
    4. 第 3 回取り組む会の講評(平野会⾧)
    5. 次回開催について


1.開会挨拶

    (平野会⾧)
  • 本日は、遠州の空っ風が吹く寒い日の中、お集まり頂きありがとうございます。先月造成した産卵床の産卵状況を非常に心配しておりましたが、高橋先生、喜多村様のご指導のお陰により、良い結果になったようです。石の上にも 3 年と言いますが、今年だけでは無く、さらに 3 年間続くようしていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い致します。

2.今年度の産卵床造成作業の確認

    (喜多村副会⾧)
  • 10/25 に国道1号線から下流 500m の左岸側にて、主流路と旧副流路(左岸側ワンドの間にできた砂洲上に、左岸側に向かう流路を作り、産卵床を造成した。
  • 昨年度と比べて流路⾧を半分程度短くして、勾配を大きくし、これによって水深が一様で流速が比較的速い流路となった(水深 30~40cm、流速 60cm/s)。流路の河床礫の固結をほぐして河床軟度を高めるため、ブルドーザーのブレードを下ろして走行するとともに、流路の河床を敷き均した。

  • (高橋アドバイザー)
  • 流路の両岸の岸沿い(水際)の 1m を除くほぼ全域で産卵が確認された。産卵場内には 1,000 匹以上の天然の親魚がいるようである。
  • 造成後に放流した人工アユ(親魚)も造成区の下流端で観察できた。
  • 今回、多く産卵が見られた要因は次の 3 点と考えている。
    1 つ目は、遡上が多く、河川の濁りも少なかったことで、多くの親魚が残ったこと。
    2 つ目は、今回の産卵床は流路の勾配を大きくし、流速を大きくしたため、産卵床に砂泥がたまることがなかったこと。
    3 つ目は、オペレーターの技術。昨年度と同じオペレーターに産卵床の造成を担当いただき、造成のやり方を理解してもらったうえで、習熟したバックホウ、ブルドーザーの運転により理想的な産卵床が造成できた。
  • (質問 1)
  • 今回、この場所を産卵床造成試験場とした理由は?
  • →(喜多村副会⾧)
  • 重機が入っていける場所であることが、この場所を選定した理由のひとつ。
  • また、今年 9 月に 4,000m3/s の出水があったので、産卵場周辺範囲の砂州の状況が変化して、産卵床に適した粒径土砂や河床の軟度の高い砂洲となり、好条件となった。

  • (質問 2)
  • R3年の産卵床造成時期はアユの産卵時期に間に合わなかったが、今年の造成時期はどうであったか?
  • →(高橋アドバイザー)
  • 産卵場の造成後の水温が16℃~17℃程度と産卵の盛期に差し掛かる水温となっており、タイミングがマッチしたと考えている。

3.その他(静岡県)

    (静岡県)
  • 今年は、静岡県内のどの河川でもアユの遡上が良好と聞いている。
    今回、天竜川では産卵床の造成によって良い結果が出て良かったと思う。引き続きこの取り組みに参加させて頂きたい。

4.第3回取り組む会の講評

    (平野会⾧)
  • 今回は、いろいろな好条件が絡んで良い結果になったと思います。今年は全国的にアユの遡上が良好と聞いているので、油断せず、このような成果を今後とも続けて行きたいと思います。引き続きご協力をよろしくお願いします。

5.次回開催の日程調整

  • 盛土対策の現地計画が立案できなかった為、今年度の作業はないことから、開催は見送ることとする。
  • 但し、11/29 に魚沼市で開催する「魚のすみやすい川づくり勉強会」において、喜多村副会⾧が講演を行う。その講演内容を、第 4 回取り組む会として、茅ヶ崎研究所において、喜多村副会⾧より直に拝聴したいとの意見が天竜川漁協より出された。そのため、今後開催に向けて検討する。

【配布資料】

  • 資料 1 天竜川天然アユ資源の再生に取り組む会 名簿
  • 資料 2 「天竜川天然アユ資源の再生に取り組む会」年間スケジュール
  • 資料 3 産卵場造成方法と必要性の検討
  • 資料 4 天竜川河川敷におけるアユ産卵床造成試験(造成時・速報)

【出席者】

会長 平野國行 天竜川漁協 代表理事組合長
副会長 喜多村雄一 電源開発(株) 茅ヶ崎研究所 専任部長
メンバー 中谷 勲 天竜川漁協 理事・総務委員長
鈴木長之 天竜川漁協 理事・業務委員長
平野利明 天竜川漁協 理事・総務副委員長
野澤利治 天竜川漁協 理事・業務副委員長
谷髙弘記 天竜川漁協 事務局長
田中裕太 国土交通省河川国道事務所 調査課長
鈴木進二 静岡県経済産業部 水産・海洋局水産資源課 資源増殖班長
野々村誠一郎 電源開発(株) 中部支店副支店長
鈴木紀光 電源開発(株) 中部支店用地グループリーダー
市川雅典 電源開発(株) 中部支店用地グループメンバー
小太刀理久 電源開発(株) 中部支店用地グループメンバー
赤崎春奈 電源開発(株) 中部支店用地グループメンバー
森山貴彦 電源開発(株) 佐久間電力所長代理
家入峻介 電源開発(株) 佐久間電力所
アドバイザー 高橋勇夫 たかはし河川生物調査事務所代表
有川 崇 近自然河川研究所
記  録 小林英次 (株)J-POWERビジネスサービス 社会環境部 部長代理
石井健一 (株)J-POWERビジネスサービス 社会環境部 メンバー