2018年度 第1回 天竜川天然資源再生推進委員会議事録

◆議事概要

  1. 日 時:平成30年4月26日(木)13:30~16:00
  2. 場 所:天竜川漁業協同組合2階会議室
  3. 出席者:別添「出席者名簿」の通り。
  4. 議 案:
    1. 推進委員会の設立について(委員長:平野組合長)
    2. 活動計画(提案)
      • 村上教授
      • 竹門准教授
      • 有川氏
      • 高橋農学博士(欠席のためJPより概要説明)
      • JP
      • 事務局
    3. 今後の活動について
    4. その他

I.推進委員会の設立について

  • 天然資源再生のための連絡会として6年間活動してきたが、さらに天竜川漁協が目指すきれいな水に、豊かな魚、にごりを減らして天然資源が育つ環境を実現するために現場密着型の組織として、連絡会から推進委員会として4月から活動を行うこととなった。

II.活動計画

a. 

  • 河川環境改善作業の効果として、アユの餌資源である付着藻類の組成、現存量を観察し、付着藻類の遷移過程の調査、検証を行う。対象地点は秋葉ダム下流とし、先行して調査をしている矢作川での調査項目とできるだけ同じとして結果を比較する。調査は10月を予定している。
  • 餌環境改善のための河床洗浄の効果の判定を行う。これまでの実験の結果を取りまとめるとともに、JPが実施している洗浄機器開発実験に立ち合い、洗浄効果の判定を行う。
  • 天竜川水系の水質(にごり)の発生源の調査を行う。栄養塩と付着藻類との関係を調べる。夏、秋、冬の平水時、出水時に調査を行う。

b. 

  • 砂州のろ過機能効果を高めるための現状調査、湧水を活用した産卵床造成、湧水効果を確認するための天然資源生態生息状況調査を行う。
  • 過去に実施した湧水実験の効果をとりまとめ、11月に湧水実験を行いたい。昨年産卵床を造成したが、湧水量が少なく、可能であれば繁殖期までに追加造成を検討したい。昨年の産卵床造成では造成と同時に埋め戻しを行ったため、細かい砂も埋め戻されてしまい、目詰まりが発生して、湧水量が少なくなったものと考えられる。
  • 砂州のろ過機能の調査として、衛星画像や現地調査により、砂州を通過して濁度が減少する現象を確認している。具体的には、出水前後で堆砂位置を特定して堆砂面積の変化と濁度変化を比較して、低減効果を確認した。
  • 濁度の減衰率を、2地点の濁度変化をその距離で割ったものと定義し、砂州の地形変化が大きい地点では濁度の低減率が大きいことがわかった。
  • 今年は、衛星画像データを活用して、どのような砂州に濁水低減効果があるかを調査する。

c. 

  • ダム堆砂処理で発生した巨石を利用した瀬の再生手法の現地試験を行う。
  • 対象地点は、これまでH28,H29年度に実施してきた秋葉ダム直下の西川合流点と鮎釣地点とする。秋葉ダム直下では、巨石を投入して「浅瀬と深みが交互に出現する河床地形」を造成し、西川から供給される土砂が堆積しつつ徐々に流下するようにしたい。鮎釣地点では、狭い水路の右岸側を掘削して拡げるとともに、深い箇所は巨石を列状に据えてステップを作るなどして、平面的にも縦断的にも凹凸のある「アユの生息及び友釣りに適した早瀬」を創出したい。
  • 今年の夏と秋に各1回調査した結果をもとに具体的な対策案を立案して、その内容を10月の推進委員会で説明する。施工は1月~2月頃を予定しており、4月の委員会にてその結果を説明する。

d. 

  • アユの生態・生息状況の継続調査(分布調査)、アユの産卵床造成技術の創出(環境DNAによる主産卵場所の特定)、湧水型産卵床造成試験の検証(竹門先生が実施する試験での産卵調査)、水路型産卵床造成試験、漁場形成の効果検証(ハミ跡被度の観測からのアユの利用実態の把握を行う。

e. 

  • 産卵床造成技術(水路型、湧水型)の創出として、昨年度実施した産卵床造成実験の効果をとりまとめ、評価を行う。
  • 置土・河床掘削技術および河川洗浄技術の検討として、既往試験の整理、消防ポンプによる既往試験を実施する。
  • 佐久間貯水池の水質改善および下流河川の環境評価手法の検討として、水温濁度の調査の実施、AYU48の改良、環境DNAおよびベントトーチ調査、簡易環境装置の活用を行う。
  • 推進委員会のホームページの運用として、委員会の活動情報を外へ発信する。イベント情報、調査結果を発信する。

f. 

  • 天竜川水系に係る森林荒廃に関する勉強会を開催する。今年は情報収集、翌年に講師を選定して勉強会を開催したい。

III.今後の活動について

  • 各委員からの提案は、事務局で実施の可否を検討する。次回の推進委員会は10月~11月に実施予定である。それ以外に各委員が実施する調査や試験の各1回に、メンバが集まり、調査や試験について解説して頂く。
  • 推進委員会での議論の原則は、批判せず、建設的な意見交換とする。

IV.その他

  • 今年のアユの流下仔魚状況として、国道1号線の定点で約18億5千万尾が流下した。他年の数値と比較すると例年並みと考えられる。しかし遡上時期(3月~4月)に出水が重なったため、出水後にアユが見られなくなったという情報もある。4月中旬に実施した船明ダムの魚道調査では、2時間で17.7kgのアユが捕獲された。

■[平成30年度活動計画提案に対する委員会結果]はこちら

【配布資料】

  • 第1回天竜川天然資源再生推進委員会議案
  • 平成30年度 年間スケジュール案
  • 活動計画提案書(平成30年度)
  • 村上教授資料
  • 竹門准教授資料
  • 有川氏資料
  • 喜多村専任部長資料