秋葉ダム直下域における早瀬再生実験後の川の流れ等の変化を調べる 2020.10.2 近自然河川研究所の有川崇先生による、201●年より3年計画で進められてきた、西川と合流する秋葉ダム直下域の早瀬再生実験。巨石を投じて新たなアユの生息環境を作ることを目的としたこの実験の成果を調べるため、中部大学の村上哲生教授が調査に入りました。

 この実験では、
 
 1) 巨石間にできる礫の川底がアユの餌の供給場所となる
 2) 沈んだテーブル上の巨石の付着藻類がアユの餌になる
 3) 巨石によってできる緩流部がアユの休み場となる
 4)巨石によって複雑化した河床が、アユを含む多様な水棲生物の生息場になる可能性がある
 
 などの効果が期待されていますが、同時に緩流部分には糸状の緑藻類や蘚類 (コケのこと) などのアユにとって不都合な植物が繁茂する可能性が懸念されます。

●まず、天竜川と西川の合流地点から約30m下流にロープを渡し、右岸から左岸へ2メートルおきに水温と水量を計測。水深から計測できる断面積と1秒間の速度を測ることで、1秒間に流れるおおよその水量が把握できる。●透明度が高い西川の下流域。●西川から天竜川本流に流れ込む水量を測る。(写真左上より右回りで)

 今までの調査では、巨石列のある右岸とそれがない左岸に差があることはわかったのですが、その差が巨石を置いたことで生じたのか、右岸から流入する西川の水質の差によるものなのか区別がつきませんでした。そこで今回、塩分の持つ導電率を計測することで、西川からの水がどのような広がりで流れるかを確かめる調査が行われました。

●導電率計測のために、西川の河口25m付近から少量の塩水を流す村上教授。●塩水を投入した地点から約100m下流の天竜川との合流地点で導電率を計測する。有川先生の担当する奥の左岸側は、秋葉ダムから流れ込む生活排水等の影響で導電率が高く(平均100〜200μS/cm)、西川からの影響が大きい右岸側では平均20〜100μS/cmを示していた。●計測された数値を比較しながら状況分析をする村上教授と有川先生。●計測装置を設置する村上教授。センサー部を河床に固定する。●右岸から約15mの西川寄りの計測地点では通常は低い数値を示していたが、塩水投入後約5分程度で数値がグンと上がった。(数値は1分間隔で表示される)●右岸、左岸とも数値にかなりバラつきが見られる。巨石投入で河床が複雑化した影響が少なくないと考えられる。●右岸からの計測地点までの距離をレーザーメジャーで測定する有川先生。(写真左上より右回りで)

 この日の流量条件(平均的な水量)では、西川の水が天竜に少しづつ混じり、河川の中央部付近まで影響を及ぼしているらしいことがわかりました。流量条件が異なればその影響も異なるため、もう少し違った流量条件のときに再度調査の予定です。