▲水門越しに下流の景色が見える珍しい瞬間。
11月下旬、8年ぶりに船明ダムの水門が開放されダム湖の水が抜かれました。この時期に水を抜くのは大雨や洪水がなく、天竜川の流れが比較的穏やかな季節だから。普段、水圧に耐えている水門の密閉ゴムの交換やダムコンクリート通水部の補修、水門の塗装などのメンテナンスのために10年に1回程度の頻度でダム湖の水を抜いているのです。
元々、船明ダム湖は流れが穏やかなことに加え、湖面が広く、東海地方では唯一長い複数の直線コースが取れることから、毎夏開催されるボートの甲子園、「全国高等学校選抜ボート大会」の会場になっている他、インターハイや国体でもボートレース場に使用されるなど、東海地方だけでなく全国的にも有名な漕艇競技場となっています。また、春から夏にかけてはカヌーや屋形船などのボート遊びも盛んで、浜松市民に親しまれています。このため水抜き期間中には、競技場コースの水深を確保するための河床整備も合わせて実施されます。
水位が約12m下がり自然河川の様相を呈している現在、湖底から現れた昔の天竜川の風景や、その流れが織りなす、普段、なかなかお目にかかれない表情をお楽しみください。
▲穏やかに水門をくぐる天竜川の流れ。
▲湖底から昔の天竜川の流れが現れた。泥地には調査に入った電源開発(株)の人間の足跡の他に、小動物や野鳥の足跡も見られる。
▲旧道を上流に向かった地点で川が大きく蛇行をしていた。河岸には堆積土砂が川の流水により洗掘された跡が見られる。
▲ボート場の浮き桟橋もご覧の通り。昔の姿を懐かしむ地元のお年寄とお孫さんが遊んでいた。
▲普段はダム湖にそのシルエットを映す夢の掛け橋もどこか殺風景に見える。
▲レガッタなどのボートのスタート地点付近。写真奥が上流方向。右に国道152号線が、左に旧道(現県道)が走る。
▲ボートのスタート地点。普段のダム湖の水位がよくわかる。時計の付いているスタンドはスターター用桟橋。